炭の歴史
炭と人間の関わりは、石器時代の前期と言われ、およそ30万年前の遺跡から日本最古の炭が発見されています。
弥生時代になると鉄製の農機具等の金属加工に使われるようになり、奈良時代には火持ちの良い白炭も普及し始め、暖房用としても使用されるようになりました。
炭焼きの基本的な技術は、平安時代に一応の定着をみ、室町時代には茶の湯が盛んになったことに相まって、需要者の厳しい要求を満たすためにその炭質は著しく向上して今日に近い形での技術が完成したと言われています。
その後も長い間料理や暖房の主エネルギーとして重宝されてきましたが、1950年代よりガス・石油・電気がこれに取って代わるようになって炭の需要は減少し、炭焼き職人も、又生産量も激減してしまいました。
ところが最近では、炭の用途はエネルギーとして使用するだけではなく、金属加工など炭素材料的な使い方がされるようになり、炭の研究が進み、炭の特性が解明されて現在では健康や環境に寄与する役目を果たすようになってきています。
特に環境問題が叫ばれる昨今、その解決の手段の一つとして今炭は大きな注目をされています。
炭の特性
(1) 木炭は、縦横に孔の多い構造(多孔体)をしており、吸着力があり、通気性・保水 性・透水性に富んでいます。
(2) 土壌内に炭を入れると、炭の孔に有効菌が入って微生物を繁殖させ、土中に空気や 水を持ち込んで健全な土壌を作ります
(3) 木炭には灰分(ミネラル)があり、これを土壌や飼料に供給することにより農産物 や畜産にも有効利用できます。
(4) マイナスイオンに変化させる働きがあります。
(詳細はイオンと環境及び人体への影響)を参照
(5) 悪臭や水分を吸着するため浄化・鮮度保持の効果をもたらします。
(6) 調湿効果があり、床下に敷くことにより木材の腐食防止やカビ発生を防止し、シロ アリ防除に効果があります。
(7) 高温で焼かれた炭は、グラファイト構造という電気を伝えやすい構造となるため、 穴を掘って埋めることにより磁場が改善されます
炭の種類
炭は大きく分けて「白炭」と「黒炭」とがあります。
白炭は、炭焼きの仕上げ段階で窯口から空気を徐々に送り窯内を1000℃の高温にて処理し、白熱した木炭を窯外に出して灰と土を混ぜて湿気を含ませた消粉をかぶせ、素早く冷却したものです。
黒炭は、炭化温度を400〜700℃で処理し、そのまま窯内で密閉してゆっくり冷却させたものです。
また、炭の原木を特定して「備長炭」(うばめがし)・「椚(くぬぎ)炭」・「楢炭」・「オガ炭」等の名前が付けられています。 |